2012年の写真・映像 このページでは、2012年に撮影した写真・映像をご紹介しています。動画をご覧になるには、Apple Computer社のQuickTimeが必要です。

Windows版のQuickTimeもありますので、Windowsパソコンの方もインストールすれば動画もご覧になれます。)

     

昨年撮影されたクマの背擦りの映像をまだご覧になっていない方は、まずそちら(2011年のページ)をご覧いただいてから、このページをご覧ください。(今年度も、ツキノワグマの背擦りを一つのテーマとして、ホームページを展開していく予定です)

    

☆ 昨年撮影されたクマの背擦り映像からは、カラマツ樹脂そのものへのクマの強い嗜好と執着が感じられました。そこで、クマの針葉樹樹脂への強い執着を明らかにするために、今年は、人工的に作成した樹脂ワックスを、広葉樹の樹肌に塗布して、クマたちがどのような反応をするか確認してみることにしました。

   

☆ 針葉樹精油で人工的に「樹脂ワックス」をつくり、昨年背擦りのあったスギカラマツ林に隣接するミズナラの木の樹肌に塗布しました。下写真の左がスギカラマツ林で右側広葉樹林の10m位のミズナラに塗布しました。

昨年、背擦りしたカラマツ林に隣接するミズナラの樹肌に、2012年4月29日、ヒノキワックスを塗布しました。

高さ30cm位から130cm位の範囲に、たっぷり塗布しました。

  

   

6月17日〜18日、クマが現れました。

動画をぜひこちらからどうぞ。(1・2頭目3頭目

動画をご覧になるには、Apple Computer社のQuickTimeが必要です。

2012.6.17 23:46

ヒノキワックスを塗ったミズナラの木に抱きつく。

動画はこちらからどうぞ。

2012.6.17 23:47

歯をむき出しながら転げ回る

2012.6.17 23:49

木の周りをでんぐり返し等転げ回って一周する。

画像処理などで股間を注視するが、雌雄は不明。ツキノワ模様がほとんど見えないなど、昨年、カラマツに背擦りしたメス熊に似ているがよくわからない。

2012.6.18 0:59

1時間少しの間、カメラセンサーが動作せず、おそらく木の根元で眠っていたと思われる。そこに2頭目のクマが現れ近づいてくる。動画の録画時間は1分のため、接近して何が起きたかわからないが、、、

2012.6.18 1:00

10秒の撮影インターバル後には、後から現れたクマは木にのぼって様子をうかがっていた。その後、そろそろ下りてくる。

2012.6.18 1:01

警戒姿勢なのか双方とも頭を下げている木から下りたクマがゆっくり脇を過ぎていく。2頭の関係は不明である。体の大きさにはほとんど差がないように見える。

2012.6.18 1:02

下りたクマは立ち去る。

2012.6.18 5:13

明け方になって、夜中のクマより大型の3頭目のクマが現れた。目を見開き口を半開きにしながら、こすりつけや抱きつき、転げまわる。左後方の光はもう一台のカメラの赤外光ライト。動画はこちらから

2012.6.18 5:13

もう1台のカメラからの映像写真。

右後方はカメラの赤外光。

2012.6.18 5:13

2012.6.18 5:15

周りを転げ回る。やはり口は半開き状態。

2012.6.18 5:16

夜中のクマと同様、木の周りを転げ回る。股間にペニスがありオスである。体の大きさや体躯の感じは昨年、カラマツにしつこく現れたオスと似ているが、昨年の背擦り時に確認できたうすいツキノワ模様が確認できず、別個体かもしれない。

2012.6.18 5:16

脱力して寝そべってしまった。

2012.6.18 5:16

這いだして動き出す。

今回のクマたちは、木に体を擦りつけて自分の臭いを付けるというよりも、映像からは、明らかにヒノキワックスの臭いヘの強い嗜好(というより酩酊・陶酔状態)が見て取れます。「背擦り」しなかった原因としては、塗布した位置が低かった、自然にはあり得ない濃い濃度の強烈な臭いで、もはや充分だったこと等が考えられると思います。

クマの表情を詳細に観察すると、口を半開きにして目を見開いた表情が多く見られ、マタタビをあたえられたネコの行動と同じような「フレーメン反応」の可能性もあると思います。「フレーメン反応」は、フェロモン様物質を認識する受容器官である上あごのヤコブソン器官(鋤鼻器)に、反応物質の臭いが着いた時に、臭いに反応して唇を引き上げ口を半開きにして反応物質を取り込もとする生理反応のことです。カモシカやシカといった野生動物でも異性の尿や分泌物に接した時に観察されます。(ツキノワグマにヤコブソン器官があるのかわかりませんが、、、)

いずれにせよ、ヒノキなど針葉樹の精油にはピネン類など多くの物質がふくまれていますが、ツキノワグマを刺激する何らかの有効成分が含まれているものと思われます。あるいは、ペンキなどにもクマが嗜好性を示した例があるので、針葉樹の精油だけではなく、もっと広い範囲の揮発性物質に反応するのかもしれません。クマに対する有効成分が特定されれば、どうしてクマを刺激して酩酊陶酔状態にするのかもわかるかもしれません。

昨年背擦りしたカラマツの木は、周囲の状況から、元々、シカが角研ぎして樹脂が分泌されている傷跡部分に、クマが皮を剥きながら背擦りをするようになったものと考えられます。また、同様に昨年、クマ剥ぎされたスギの木に背擦りする様子が撮影されました。クマは、角研ぎやクマ剥ぎ・シカ剥ぎ等で傷つけられて樹脂分泌が増えた木に背擦りしていると考えられます。その他、カミキリ・ガなど穿孔性昆虫による食害で樹脂分泌が増えている木も背擦りの対象となる可能性があると思われます。推測に推測を重ねることになりますが、林業被害でもあるハチカミの原因となるスギカミキリの侵入木は、広葉樹林との境界や道沿いなどの林縁に多いという調査報告もあるので、背擦り木もそうした林縁に多い可能性があります。

また、ツキノワグマの針葉樹精油に対する嗜好には、個体差や雌雄差、地域差などはあるのでしょうか。ツキノワグマの多くの個体にこうした嗜好性があるのかまだわかりませんが、もしあるとすると、こうした針葉樹精油成分に対するクマの「嗜好」は、どうして進化してきたのか等々、進化生態学的な観点からも興味は尽きないものがあります。

   

    

☆ 6月17日、18日にクマが背擦りしたミズナラの樹肌の前回より少し高い場所(170cm位まで)に、再び、前回同様のヒノキワックスを塗布したところ、乳首のはっきり見えるメスグマが現れて背擦りをしました。どうやらメスもヒノキワックスに強い嗜好を示すようです。動画はこちらからどうぞご覧ください(ファイルサイズが大きく重たいです。)

2012.6.24 

高さ170cm位までヒノキワックスを塗り直した。

1mの物差し。身長167cm、体重69kgのヒト。

2012.6.25 17:59

クマが現れて抱きつく。

背擦りの典型的な姿勢で立って背擦りする。乳首がはっきりと確認でき、月の輪模様がはっきりしたメスであることがわかる。体重50kg位はありそうで、メスとしてはまずまず立派な体格である。

股間に何か見えるがよくわからない。

(わかる方教えてください。)

頭を抱えながら擦り続ける。

四つ足で背擦り。

約3分30秒にわたって擦り続ける。

背擦りを終わってカメラの方へ歩いてくる。

カメラに気づいたのか、突然走って逃げ去る。

2012.6.26 15:08

クマが現れカメラの向きを変えてしまった。一日前のクマと同一かは不明だが、、、、

2012.6.26 15:08

ミズナラの木の方へ向かった。

☆ 引き続き、上のミズナラに設置したカメラに執拗に背擦りしたり転げ回って陶酔するクマたちです。7月28日から8月2日の間に、少なくとも4個体が現れ背擦り陶酔行動をしました。動画は音声入りなので、音量を最大にして動画をご覧ください。(動画はこちらから、その1その2)クマたちは、背擦りや転げ回りの時にうなり声を出すことはなく、時折、転げ回る時にフーッという荒い息をしています。

2012.7.28 15:05

立派な体躯のメス熊と思われるクマが現れた。ツキノワ模様も乳首もはっきりとしていて、6月25日に現れたクマと同一ではないかと思われる。動画はこちらから

2012.7.29 17:41

28日のメスより少し大きなオスグマ。ペニスが見える。動画はこちらから

2012.8.2 9:32

小型のクマで雌雄不明の個体。背擦りしようとするが、この後バランスを崩して左後ろにこける。動画はこちらから

2012.8.2 9:32

左の続きで、こける。こけた後も木の周りを転がり回る。動画はこちらから。動画はこちらから

2012.8.2 15:34

雌雄不明のクマ。動画はこちらから

2012.8.2 20:51

乳首がはっきりと見えるメスだが、やせていて、7月28日のメスとは別の個体と思われる。動画はこちらから

   

   

      

         

☆ 上のミズナラから10mほど離れたホオノキの樹肌にヒノキワックスを塗布したところ、オスグマが現れて背擦りや一連の陶酔行動をしました。サルの群れ、タヌキも現れましたが、ヒノキワックスには全く関心を示しませんでした。クマの嗜好は、ワックスを塗布する樹種には関係ないことがわかりました。

動画はこちらからどうぞ(その1その2)。

2012.6.24

ホオノキの樹肌の1m30cm位の高さまで塗布。

1mの物差し。身長167cm、体重69kgのヒト。

2012.7.1 15:18

クマが現れて体を擦りつけ始める。動画はこちらから

ヒノキワックスが頭や首に付着している。

立って抱きつく。

爪を立てる。

首から上がワックスだらけになってしまった。

座って背擦りする。

転げ回り始める。股間が一瞬見え、オスの様に見えるが、今ひとつ不確かである。

木の反対側に転がる。

また転がって戻ってくる。

約4分間楽しんだ後、立ち去る。

2012.7.9 13:44

サルの群れが現れるが、ヒノキワックスには全く無関心である。

2012.7.16 19:14

再びクマが現れた。動画はこちらから

体格的には、7月1日に現れたクマに似ているが、頭や首にワックスはまったく着いておらず、同一のクマかは不明である。股間にペニスが見える。

股間にペニスが確認できる。オスである。

典型的な背擦りポーズ。

ワックスを舐める。

股間のペニスが勃起しているのか突きだしているように見えるが、、?。

(勃起しているのか、わかる方、教えてください。)

ペニスが目立つ。

2012.7.25 5:37

タヌキが現れるが、ワックスには全く関心を示さず、すぐ脇を歩き去る。

ワックスはすっかり落ちて、爪痕が残っている。

    

   

☆ 昨年、クマが執拗に背擦りしたカラマツの木に設置したカメラに、背擦りするイノシシが写りました。しかし、カメラの調子が悪く、これを最後に壊れてしまい、クマが再び来ているかは不明です。動画はこちらからご覧ください。

樹脂がしたたるカラマツ

2012.5.23 20:23

イノシシが背擦り(横腹擦り)する。

動画はこちらから

頭を擦りつける

再び背擦り。樹脂がたれている部分に擦りつけているように見える。イノシシもカラマツ樹脂への嗜好があるのだろうか????

   

   

☆ 昨年、今年と背擦りを撮影している場所から、直線距離にして   kmの森のミズナラの木にヒノキワックスを塗布したところ、ツキノワグマが現れました。動画はこちらからどうぞ。

2012.7.4 19:12

クマが現れ近づく。臭いに気づいたのだろうか。

臭いを嗅ぐ。

立ち上がって臭いを嗅ぐ。小型のクマである。

一歩登って臭いを嗅ぐ。

口を半開きにして臭いを嗅ぐ。

カメラの方に向き直る。

カメラを破壊。

お楽しみの時間は秘密なのだろうか、、、

ワックスはほとんどなくなり、毛が残っていた。

  

 

☆ 標高750mほどのスギ林内にあるキツネ穴に設置してあるカメラに、キツネのペアと子供3匹の家族が写りました。この巣穴は、10年以上前から確認していますが、ほぼ1年おきに繁殖に使っているようです。

動画はこちらからどうぞ。(ファイルサイズがおおきく重たいです)

2012.6.10 18:22

親が2頭、子供が3頭の家族である。

親が巣穴の土を掻き出したりしている回りで子供同士がじゃれ合ったり、

親にじゃれついたりしている。 

     

       

☆ 標高800mほどの竹林に設置したカメラに、タケの地下茎を食べるイノシシ、シカが写りました。動画はこちらからご覧ください。(その1その2

 

2012.4.5 3:25

イノシシが鼻先でタケの地下茎を探りながら移動している。その後に、シカが現れて、イノシシが掘り進んだ辺りを探るが食べ物はほとんど見つからなかった。この竹林では、イノシシだけではなく、頻繁にシカが現れるが、おそらくタケの地下茎を求めてであろう。

動画はこちらから。

2012.5.3 17:36

シカが前足で地面を掘りながら地下茎を探している。地下茎の皮らしきものをくわえたりしている。シカは連日現れていて、この竹林が重要な食物資源であることがうかがえる。

動画はこちらから。

   

最近の映像・写真のページへもどる

トップインデックスページへもどる